イベント・セミナー

このイベント・セミナーは終了いたしました。

  • 会計

第5回「国際課税基礎講座」(全6回)

開催日 2017年05月12日(金)  時間 13時30分~15時30分
対象者
パネラー・講師 道中 泰雄氏 (株式会社フェアコンサルティング  マネージャー 公認会計士)
主催 一般財団法人 会計教育研修機構

セミナー詳細

 近年、企業の多国籍化が一層進展した結果、多くの企業が調達・生産・販売・管理等の拠点をグローバルに展開するようになりました。また、それに比例して国際電子商取引が急激に拡大するようになりました。一方、従来の国際課税ルールではこういった企業の動きに的確に対処することができず、多くの租税回避案件が顕在化することになりました。端的に言えば、国際課税ルールの硬直化、陳腐化が多国籍企業の精緻な租税回避スキームを誘引することになったといっても過言ではないと思われます。
すなわち、自らの活動の実態と現行の各国の税制や国際課税ルールの間にずれが生じていることに気付いた多国籍企業は、そのことを奇貨として、各国における税源(課税標準)を侵食させ、あるいは、軽課税国等に利益を移転することを可能にするスキーム(BEPS=Base Erosion and Profit Shifting)を積極的に企画・実行するようになり、結果としてどの国においても課税されない国際的二重非課税の状況が出現することになったものです。税源浸食とは、課税所得を人為的に減少させることであり、また、利益移転とは、経済活動の実態のない国(主として低税率国)に利益を移転させることです。
 このため、OECDなどの国際機関が中心となって、今まさに新たな課税の枠組みを構築しつつあります。具体的には、租税条約の改正及び関係各国の国内法の整備並びに世界各国の課税当局間での多国籍企業の活動実態を明らかにする資料・情報の共有制度の確立などが該当します。このため、この新たな課税の枠組みを理解し、税務コンプライアンスを遵守しつつ効率的な事業を展開することは、多国籍企業はもとより、国際的に事業を展開する企業にとって喫緊の課題といえましょう。
 たとえば、日本で事業を行うための投資や日本の企業に対する投資を行う外資系企業の活動に伴って生じる国際的な課税問題(ここでは「インバウンド課税問題」といいます。)についていえば、これから継続して行われることになる租税条約の改正、又はわが国若しくは関係各国の国内法の整備に対応して、従来の取引形態や契約のあり方を適宜見直さなければ、これまでは課税されなかったものについて予期せぬ課税を受けるといった事態に直面することにもなりかねません。そして、その結果租税を追加納付することになれば、事業や投資の安定性、継続性そのものが脅かされることになります。これは、日本企業による海外への事業進出や投資等に伴い生じる国際的な課税問題(ここでは「アウトバウンド課税問題)といいます。)についても言えることです。
 本講座では、国際税務担当の税理士の現場目線から、主としてOECDの多国籍企業に対する課税強化の動き(BEPS行動計画)を紹介しつつ、インバウンド課税問題及びアウトバウンド課税問題に加え、多国籍企業グループ内で行われる国際的組織再編に関連する課税問題という、国際課税の主要3分野における課税問題を中心に、基礎から学べるように6回に分けて解説します。